今年で12回目の開催を迎えた「清華野村杯日中経済プレゼンテーション大会」が5月18日、北京にある清華大学で開かれました。テーマは「20年後の社会、20年後の私」。予選を潜り抜いた8大学の大学生や院生計15人が初級、上級に分かれて、事前に作成したパワーポイントを使いながら、日本語でプレゼンテーションする力を競い合っていました。
主催は清華大学と野村総合研究所が共同運営する「野村総研中国研究センター」と北京日本語教師会。中国進出の日系企業や中国のソフトウェア開発企業などが協賛しています。数ある日本語コンクールの中でも、「清華野村杯」は日本語力よりも日本語を使ってコミュニケーションをとる力を重視するのが特徴です。
この日の学生たちのプレゼンテーションには、若者たちが注目している中国社会の現在と将来の問題点が凝縮されている上、皆さんなりの解決策も出されていました。中国社会の今を映し出す鏡として、今週と来週は選手たちが発表した内容から、「技術」と「社会」に分かれて紹介してまいります。
1回目の今週は、人工知能技術の応用が暮らし方や働き方、そして、生き方そのものに与えた変化をめぐり、若者たちの見つめ方を紹介します。以下の6名の発表を抜粋してご紹介します。
1)北京科技大学・劉海卿さん:私たちの大事にすべきもの
2)外交学院・張炯琪さん:20年後の社会、20年後の私
3)北京科技大学・孫月さん:ロボットママ
4)中央財経大学・馬智民さん:20年後、AIと共に生きよう
5)中央財経大学・鐘念瑾さん:人間の居場所はどこへ
6)北京科技大学・龚詩雅さん:人間ロボット
なお、大会では初級と上級に分かれて、抽選で決まった順番に従って発表が行われましたが、ここでは発表者の関心事項や問題意識がより分かりやすく伝えるよう、あくまで取り上げた内容を参考にして紹介の順番を構成してみました。
北京科技大学・劉海卿さん
外交学院・張炯琪さん
北京科技大学・孫月さん
中央財経大学・馬智民さん
中央財経大学・鐘念瑾さん
北京科技大学・龚詩雅さん
今回の番組の制作にあたりまして、「清華野村杯日中経済プレゼンテーション大会」の主催者である「野村総研中国研究センター」と北京日本語教師会、出場した学生たちのサポートをいただいています。合わせて御礼申し上げます。
◆リスナーのお便りから
★東京都大田区・三輪徳尋さん
とてもおもしろいテーマのプレゼンテーション大会を興味深く聞かせて頂きました。若者が思い描く20年後の世界に、 人間の不確実性や曖昧さが、必要であって、大切にしなくてはならないと思っていてくれることが様々な見方と表現で 表してくれていたことに安心しました。 しかし、同時に、人間の不確実性、曖昧さがAIやロボットにマイナスの影響をもたらさないことを望みます。ここで 語られている若者の様に正しい倫理観を持っている人たちが正しくAI技術、ロボット技術を導いて欲しいと思います。
私は、AI技術があ(A)い(I)を理解する技術にまで至って欲しいと思っています。 今は、コンピュータと愛情、とても相容れないものと思われています。今後も、効率や理屈だけで判断していない 人間の不完全さや愛情をAIが本当に取り込むことは出来ないのだろうと思っています。
今後、技術開発が進み、AI技術が人間の生活、世界情勢、愛情や感情を論理的、効率的に判断して、様々な場面 で指針や方向性を示す場面に遭遇することになると思います。その時に、その判断によって導き出された答えが、 本当の平和な世界をつくることが出来るか、人間が人間的な感情で、愛がある判断、非効率で、ある意味では 理不尽な判断によって、最終的には人が判断する社会でいてくれることを望んでいます。
★名古屋・ゲンさん
「清華野村杯日中経済プレゼンテーション大会」の様子、学生さんたちの発想にびっくりしました。日本は梅雨に入り、今日も雨が降っています。電波は濡れても大丈夫かなぁと思ったりして北京の方の空を見ています。こんな頭にAIの話は衝撃が大きすぎました。20年後のAIアナウンサーさん、王小燕さんや斉鵬さんを、無職のさすらい人にしないで下さいね。
手塚治虫の「火の鳥」の未来編では、シリウス12番星から地球につれて来られた不定形生物「ムービー」は瞬く間に増殖して、ペット犬や熱帯魚、植物などになったりします。人間の姿をさせて、家族のようにした家もあるので、まるで、このプレゼン大会のことを描いているみたいですよ。それにしても20年後に再建されたノートルダム大聖堂を見るなんて、リアルと空想が混沌として今までになく不思議なCRI不思議人間インタビューでした。続く来週は、社会問題だそうですね。楽しみにしています。
原音频链接:中国国际广播电台(2019年6月4日)
(责编:孟婍)